韓国製高級パンは、北朝鮮の庶民にとって縁遠いものだが、庶民なりの取っておきのパンがある。
両江道(リャンガンド)の情報筋によると、恵山(ヘサン)の市場では、パンが1キロ6350北朝鮮ウォン(約83円)で売られている。コメより少し高いが、調理の必要がないことを考えると実質的には同じ値段だ。人気があるのは国営工場製ではなく、生地を十分に発酵させてから焼いて、香ばしいと評判の個人業者のパンだ。
大学の寮で毎日配られる大学生パンと呼ばれるものは1つ1000北朝鮮ウォン(約13円)と格安で、市場でも売られていて人気だという。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。