脱北者は逃避行の途上であるという特性上、司法機関などに被害を訴え出ることができず犯罪に対して無防備な状態に陥りやすい。人身売買などの被害に遭っても、誰にも助けを求められないということだ。
それどころか中国当局は、金正恩体制に協力して脱北者を摘発し、北朝鮮へ強制送還している。中国と北朝鮮両国の当局は最近、緊密な協議を行い、脱北者を積極的に摘発、強制送還することについて合意に至ったとされる。詳しい合意内容は不明だが、最近に入り大々的な脱北者摘発作戦が行われ、中国側の町中には「通報した者には報奨金を支払う」との横断幕やプラカードが掲げられている。
強制送還された脱北者は、国外逃亡者専用の拘禁施設で拷問などの虐待を受ける。とりわけ、性暴行や強制堕胎など、女性虐待が日常化している実態は、元収容者や関係者の告発により明らかになっている。
(参考記事:刑務所の幹部に強姦され、中絶手術を受けさせられた北朝鮮女性の証言)中国当局は間接的にとは言え、北朝鮮における人権侵害を助長しているわけだ。