健康不安を「知ってもらいたがり」な金正恩氏の幼稚な心理

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北朝鮮の金正恩党委員長にまたもや健康不安説が浮上した。同国の国営メディアである朝鮮中央テレビは17日、金正恩氏が昨年11月と12月に行った公開活動をまとめた記録映画を放映。この中で、正恩氏が左足をひきずるシーンが映し出されているのだ。

トイレにもストレス

記録映画を見ると、確かに複数の場面で金正恩氏が不自然な歩き方をしている。ただし、正恩氏はそれほど苦しい表情も見せず、階段も自力で上がるなど意外にアクティブな一面を見せている。一方、屋内であろうと教育施設であろうと、所構わず火のついたタバコを指にはさんでいる。相変わらずヘビースモーカーのようだ。

引きずる足もさることながら、それと同じく気になるのが肥満度だ。冬の季節になると、いつも着用しているダブルのコートが一昨年に比べると明らかにお腹周りが窮屈になっている。日増しに肥満度は高まっていると見られる。

正恩氏の体重の変遷について、韓国の情報機関である国家情報院は昨年7月の時点で、「2012年に初めて登場したときは90キロだったが、2014年には120キロに、そして130キロまで増えたと推定される」と明らかにした。

独裁者の肥満だけに、贅を尽くした生活や暴飲暴食が理由に挙げられがちだが、不摂生に加えて独裁者が抱える特有のストレスがあると筆者は見ている。

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金正恩氏は多くの幹部を粛清・処刑し、国民の思想統制を強めながら、恐怖政治を加速させている。しかし、いくら独裁者といえども、残忍な粛清・処刑の過程で猜疑心やなんらかのプレッシャーにさいなまれているだろう。また、一般人と同じトイレが使えないストレスなど、必ずしも全てを思い通りに自由気ままに振る舞っているわけではない。

(参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

さて、ここで気になるのが金正恩氏が、なぜ足を引きずる姿を公開して健康不安説を誘発するような動画を公開したかということだ。

今回の動画を見てわかるが、足を引きずる複数の場面が映し出されている。ここからはあくまでも筆者の邪推だが、もしかすると「意図的に見せている」のではないかということだ。

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金正恩氏は、今年の新年の辞で自己批判らしき反省の弁を述べた。これについて、自らが襟を正すことによって、幹部に対して締め付けを図ろうとしているとの見方がある。その脈絡からすると、あえて足を引きずる姿を公開したのは、「私はこんな体でも頑張っているんだ」という一生懸命な指導者のアピールかもしれない。

それとも、もしかすると単純にSNSなどでよく見られる健康不安アピール、体調不良アピールの類い、すなわち「かまってちゃん」の心理なのかもしれない。現地指導でなにかと大はしゃぎし、政策においても幼稚さを見せる金正恩氏なら十分にあり得るだろう。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記