テ氏によれは、「金正恩は執権当初、よく改革開放をやろうと言っていた」とのことだが、李氏はこれについて、「将軍様(故金正日総書記)が、改革開放をすれば国が豊かになるということも知らないで、やらなかったと思うのか」と漏らしたという。改革開放は北朝鮮の体制にとって大きなリスクを伴う、という意味だろう。
突っ走りがちな若い指導者をいさめる言葉だが、強烈な批判ではない。むしろ、体制の行く先を案じているという意味で、正恩氏にとっては「忠臣」と言える。正恩氏はそんな人物を、簡単に殺してしまったというのだ。
正恩氏の父親の正日氏も残忍な独裁者ではあったが、「喜び組パーティー」ひとつとってみても、幹部たちに本音をぶつけ合わせる政策調整の機能を持たせていたとも言われる。もちろん、主な目的は権力者たちの「お楽しみ」だったのかもしれないが……。
(参考記事:将軍様の特別な遊戯「喜び組」の実態を徹底解剖)それと比べても、正恩氏は器が小さすぎるのではないか。