金正恩氏の「反省したフリ」は「大粛清」の予告だった!

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北朝鮮の金正恩党委員長は1日に発表した「新年の辞」の中で、「いつも気持ちだけで、能力が追いつかないもどかしさと自責の念に駆られながら昨年を送りました」などと述べ、北朝鮮の独裁者としては珍しく自己批判をして見せた。

どんな民主主義国家の元首にも劣らぬ殊勝な物言いだが、些細なことで国民を虐待・処刑する恐怖政治を、簡単に捨てるとは思えない。

処刑前の動画公開

自己反省は、単なる表面的なイメージ戦略に過ぎないだろう――韓国メディアでは、概ねこのような見解が述べられている。

と思ったら、より衝撃的な分析が出てきた。韓国の情報機関、国家情報院傘下の国家安保戦略研究院は4日、要旨として次のような分析を示した。

正恩氏は最高指導者になった5年前、「人民が二度とベルトを締め付けない(飢えない)ようにする」と明言したが、核開発への執着や国際社会の制裁により、北朝鮮国民の生活はさらに悪化している。こうした現実を認めざるを得ない状況で金正恩は、自身が先に自責する姿を見せ、幹部の自己批判を誘導。これまでの不振を無能な幹部のせいにし、大々的な粛清と世代交代を推進していくつもりだ――。

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当たっているとすれば、まさに狡猾と言うほかない。

実際、平壌で12月23日から25日にかけて行われた第1回全党初級党委員長大会について、朝鮮中央通信は次のように伝えている。

「初級党の活動が党の意図と革命発展の要求に追いつけずにいる偏向と欠点が深く分析され、相互批判が辛らつに行われ、欠陥から教訓を汲み取って徹底的に克服するための方途が討議された」

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基本的に北朝鮮国営メディアは、誇張した成果を伝えることはあっても、体制にとってネガティブな内容は報じない。そうした意味でこの報道は異例であり、粛清の予告とも読めるものだった。

こうした空気を感じている北朝鮮の幹部たちは、生きた心地がしないだろう。なぜなら粛清には、残忍な処刑が伴うからだ。

しかし、仮に幹部を世代交代させたところで、金正恩体制の何かが良くなるとも思えない。北朝鮮のようにカネもモノも足りない環境下では、現場の責任者たちが様々な場面で機転をきかせ、あるいは英断を下すことなしに、社会は回って行かない。彼らが恐怖政治の前で委縮してしまえば、どうにかこうにか回っている北朝鮮社会の歯車を、完全に狂わせてしまう可能性は低くないのだ。

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金正恩氏は一昨年、スッポン養殖工場の視察中に激怒し、支配人を銃殺させた。北朝鮮メディアは、そのときの様子を動画で公開している。それを見ると、金正恩氏の前でこわばった表情で直立不動の姿勢を取る職員たちや、泣き顔のような表情をする老幹部らしき人物が映っている。

(参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導】

無慈悲な「殺人」が行われる直前の恐怖の場面を、北朝鮮の人々はどのような思いで見ているのだろうか。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記