韓国軍が「金正恩暗殺部隊」を年内に創設

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韓国国防省は、有事において北朝鮮の戦争指導部を「除去」する作戦を遂行する「特殊任務旅団」を年内に創設する。4日、黄教安(ファン・ギョアン)大統領権限代行(首相)に提出した2017年度業務計画の中で報告した。

それによると、特殊任務旅団の創設は当初、2019年に予定されていたという。2年前倒しされたのは、北朝鮮の核兵器・弾道ミサイルの脅威度が急速に増しているためだ。実際、同業務計画では、プルトニウムや高濃縮ウラン(HEU)の保有量を増やしながら、核・ミサイル能力の高度化に血眼になっていると指摘している。

地雷で吹き飛ぶ韓国軍兵士

特殊任務旅団は、わかりやすく言えば「金正恩暗殺部隊」である。

韓国では2015年の夏以降、有事において、北朝鮮の指導部や核・ミサイル施設を早期に除去する「斬首作戦」の導入論が持ち上がっていた。

きっかけとなったのは同年8月、韓国軍兵士が北朝鮮の仕掛けた地雷で吹き飛ばされた事件に端を発した、深刻な軍事危機である。

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韓国国防省のチョ・ソンホ軍構造改革推進官は同月27日に開かれたフォーラムで、韓国軍が金正恩氏に対する「斬首作戦」の導入を計画していると明かしている。また、同年9月23日には、韓国陸軍特殊戦司令部が国会国防委員会に提出した資料を通じて、「敵(北朝鮮)の戦略的核心標的を打撃するための特殊部隊の編成を推進している」と明らかにした。

2015年の軍事危機は対話で収束したものの、戦争に発展していてもおかしくはなかった。北朝鮮が、この時点で核実験を成功させていたことを考えれば、韓国側の危機感は並々ならぬものだったろう。

核武装国との軍事危機にどのように対応するか。北朝鮮が核兵器開発を進展させている今、これは韓国にとっても日本にとっても重い課題だ。

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そして、韓国はその方策のひとつとして、「北朝鮮が戦争突入を決断する前に、先制攻撃で制圧してしまおう」との結論に至ったのだろう。そして、北朝鮮に戦争を決断させないようにするためには当然、独裁者である金正恩氏の「除去」も必要となるのだ。

ちなみに、このような考えは韓国にだけ存在するわけではない。米国側の要人も多数、そのような考えを示唆している。

そして言うまでもなく、北朝鮮はこれに猛反発している。

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米国のトランプ新政権がどのような対北朝鮮政策を敷くのかはまだわからないが、展開しだいでは、2015年を上回る軍事危機もあり得なくはない。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記