大量の観光客を呼びたければ、まず候補となるのは同じ民族である韓国人だが、現在の情勢下ではまず難しい。
そして何より、1998年に韓国が始めた金剛山観光では、ツアー客の女性を朝鮮人民軍兵士が射殺。そのせいでツアーが中止に追い込まれるや、北朝鮮当局が韓国側の主催企業の資産を一方的に没収する出来事もあった。
そんな状況が残る国へ気軽に団体ツアーに行けるのは、共産党独裁の下で生まれ育ち、勝手知ったる中国人ぐらいではないだろうか。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。