北朝鮮が「女性虐待収容所を拡張」情報の衝撃

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韓国の統一省の発表によると、先月11日に脱北者7人が第三国を経て韓国に入国したことで、脱北者の累計が3万5人となった。

脱北者が初めて韓国に入国したのは1962年のこと。その後は長きにわたり、年間に韓国入りする脱北者の数は多くとも2ケタに留まっていた。それが急増し始めたのは、1990年代末の大飢饉「苦難の行軍」のころからだ。

元収容者も告発

1999年に149人と3ケタに乗ると、早くも2001年には4ケタ(1114人)となった。2009年には2914人でピークに達し、2011年まで毎年2000人台を記録していた。ところが、金正恩政権が本格的に始動した2012年には、国境警備が強化された影響もあって1502人に急落。2015年には1276人と、2003年の水準まで戻っていた。それが今年に入ってから再び増加に転じている。

脱北者の内訳を性別で見ると、女性が71%で圧倒的に多い。

国営企業などの職場で統制を受ける男性に比べ、市場で商う女性らは行動の自由度が比較的高く、脱北に向けて行動を起こしやすい。

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だが、理由はそれだけではないだろう。男性本位の北朝鮮社会で、女性らは著しい不利益を被っている。特に、権力者たちはやりたい放題だ。それでも、そもそも「人権」の概念すら教えられていない彼女らは、激しい事件侵害に遭っても告発する言葉すら持てずにきたという。

また今年の夏には、北朝鮮が脱北に失敗した女性らの収容施設を拡張していることが明らかになった。米国の人権団体「北朝鮮人権委員会」(HRNK)のグレッグ・スカラチュー事務総長が、中朝国境地域の咸鏡北道(ハムギョンブクト)にある全巨里(チョンゴリ)教化所の過去数十年に渡る衛星写真を分析したのだ。

北朝鮮の拘禁施設は、強制労働、拷問、劣悪な環境で、国際社会の激しい批判を浴びている。とりわけ、女性虐待が日常化している実態は、元収容者や関係者の告発により明らかになっている。

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スカラチュー氏によると、全巨里教化所は1980年から1983年の間に開設された。女性収容施設を拡張したのは2009年2月と8月。収容者数は1990年代末には約1300人だったのが、今では5000人まで増加し、うち1000人が女性だという。

金正恩党委員長は最近、さらに徹底的な脱北者の取り締まりを厳命しているとされるが、これには中国当局が積極的に協力していると見られる。ロシアも2月、北朝鮮と相互に不法入国・滞在者を本国に送還する新協定を締結した。これは実質的に、ロシア国内の脱北者の強制送還を主眼とするものだ。

実際、中国はこの11月25日にも、脱北者30人余りを逮捕。北朝鮮に強制送還しようとしている模様だ。

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北朝鮮が核実験をするたび、日米など国際社会は中国とロシアに対し、北朝鮮への制裁強化に協力するよう様々な圧力をかけている。そして今や、北朝鮮の人権問題も国際的なイシューとなった。

関係各国はそろそろ、脱北者の人権のために中露にプレッシャーをかけるべきではないのか。

(参考記事:中国で「アダルトビデオチャット」を強いられる脱北女性たち

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記