チェ容疑者は、様々な女性に「人手が足りていない中国の農家で働いてみないか。数ヶ月で3000元(約4万5000円)になる」と声をかけ、今年4月までの2年間に、300人以上の女性を、中国吉林省の長白朝鮮族自治県の十八道溝村に住む朝鮮族の李某を通じて、各地に売り飛ばしていた。
恵山市と国境の川を挟んで向かい合う長白朝鮮族自治県では、人手不足が深刻で、農家では北朝鮮労働者を呼び寄せ、春の種まきから秋の収穫まで手伝わせることが一般的になっている。チェ容疑者は、これを悪用したものと思われる。
人身売買が横行する理由について情報筋は、密輸業者の存在を挙げている。彼らは北朝鮮国内の品物を中国に密輸することで儲けを得ていたが、売り物が枯渇したため、女性を密輸するようになったというのだ。こうした人身売買の被害者の多くは既婚女性で、恵山周辺の農家では父親と子供だけがいる家が半分に達しているとも言われる。