そのため、保衛部は巨大で揺るぎない組織と思われがちだが、必ずしもそうとは言えないことが、最近のいくつかの出来事を通じてわかってきた。
この4月、中国の北朝鮮レストランの女性従業員ら13人が集団脱北した事件を巡り、北朝鮮当局が責任者6人を公開処刑したとの情報については、7月29日付の本欄でも伝えた。情報の裏付けは取れていないものの、その6人の中には、現地に監視役として派遣されていた保衛部員らも含まれていたという。
また、集団脱北事件を巡っては、もともとエリートである従業員の家族らが「あんたらがちゃんと見張っていないからだ!」と保衛部に抗議。幹部たちがタジタジになっているとも伝えられる。
恐怖政治の根幹を担う組織だけに、そのシステムがほころんだとき、真っ先に「人身御供」を求められるわけだ。
そしてだからこそ、保衛部の振る舞いがいっそう過激化しているとも考えられる。