外貨獲得の柱の一つでもある北朝鮮レストランは通常業務もかなりハードだが、それに加えて本国から要求される厳しい売上ノルマのため、「売春」を強いられるケースもあるという。
(参考記事:中国の北朝鮮レストランで「強制売春」説が浮上)12人もの女性従業員が集団脱北するのも、無理はない状況なのだ。
最近、北朝鮮は300人もの国家安全保衛部(秘密警察)要員を海外に送り、派遣労働者たちの監視に当たらせているとも聞く。
だが、現場が海外であるだけに、実態の完璧な隠ぺいは望むべくもない。外貨に窮した北朝鮮は自ら、国民への「虐待の証拠」をも輸出してしまっているのだ。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。