「吹き飛ぶ韓国軍兵士」の戦慄再び…北朝鮮製「地雷」に今年も緊張

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韓国軍当局は、北朝鮮で降り続く大雨のために、北朝鮮側が埋設した対人地雷が流れてくる可能性があるとして、河川や海岸周辺の住民、非武装地帯付近を訪れる人たちに注意を呼びかけている。

北朝鮮は、軍事境界線に沿って大量の地雷を埋設しており、その数は今年4月以上に埋められた分だけで4000個を超えるとされる。そして、その70~80%が「木箱地雷」だ。縦20センチ、横9センチの長方形の箱型で、中に約200グラムの爆薬と起爆装置が入っている。殺傷半径は2メートルだ。

韓国軍の公開動画

木で作られているのは探知されにくくするためだが、軽くて浮力があるため、大雨で土壌が洗われると川の流れに乗って南下してきてしまうのだ。韓国軍は2010年から昨年までの6年間に、259個の木箱地雷を回収している。

そのため、「地雷が流れてくるぞ」ということ自体は、韓国国民にとって目新しいニュースではない。梅雨が訪れる度、「北朝鮮がダムを放流して水攻めしてくるぞ」との声が上がるのと同じだ。

しかし今年ばかりは、「地雷」と聞いて嫌なものを感じる人たちも少なくないのではないか。

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昨年8月、2人の韓国軍兵士が北朝鮮の仕掛けた地雷に接触し、足を吹き飛ばされるなどの重傷を負う事件が起きた。その時の映像は一般公開されているから、韓国国民の相当数が記憶しているはずだ。

これがきっかけで始まった南北の非難の応酬は、戦争寸前にまでエスカレートした。危機は、金正恩氏が韓国との「チキンレース」に敗れる形で収束したが、核問題や人権問題を巡る全般的な情勢は、当時より今の方がなお悪いとも言える。攻撃的なのは北朝鮮だけでなく、韓国側の一部にもそうした部分がうかがえるのだ。

韓国軍は非武装地帯で、北朝鮮側の嫌がる政治宣伝放送を2倍に強化する方針を打ち出しており、北側も猛反発している。

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1年前の危機が、今年も繰り返されないことを願いたい。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記