金正恩氏、学校教室でタバコ吸い放題の「マナー破壊」

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先月末、本欄で金正恩氏の「喫煙」について取り上げ、そのなかで、一時的に禁煙にチャレンジしたが失敗したようだと指摘した。

日頃から普通の「トイレ」すら使えない正恩氏が、そうしたストレスを紛らわせるためタバコに依存してしまうのは理解できる。

そして、やはりというべきか、相変わらず正恩氏がところかまわず喫煙していることが北朝鮮公式メディアの報道により確認された。

それも、今回は学校の現地視察でタバコを手にしていた。いくらやりたい放題の独裁者とはいえ、少しは喫煙場所をわきまえた方がいいのではないだろうか。

世界が正恩氏の喫煙に注目

7月3日、北朝鮮の国営メディアは金正恩氏が新しく建設された平壌中等学院を現地指導した記事を配信した。中等学院とは、中学高校生の孤児――もちろん喫煙できる年齢層ではないー―を対象とした学校だ。

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朝鮮中央通信や労働新聞などの写真を見る限り、正恩氏が喫煙している場面の写真は掲げらていない。しかし朝鮮中央テレビは3日、金正恩氏の平壌中等学院の現地指導の写真を放映。その中には手にタバコを持ったまま構内を見まわるものが複数含まれていた。

海外により広く発信される朝鮮中央通信や労働新聞では、タバコを手にする正恩氏の写真は配信されず、朝鮮中央テレビでは放映されるというのも、なんとも不可解だ。

穿った見方だが、もしかすると「いくら金正恩同志といえども、さすがに学校現場で喫煙している姿を世界的に発信するわけにはいかない」という「配慮」が朝鮮中央通信や労働新聞の編集部にはあったのかもしれない。

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そうでなくても、筆者が編集長を務めるデイリーNKジャパンをはじめ、世界中のメディアが金正恩氏の一挙手一投足に注目して、「一瞬たりとも異変を見逃してなるものか」と目を光らせているのだ。

朝鮮中央テレビは本来「国内向け」であり、そこまで配慮しなかったということも考えられる。しかし、朝鮮中央テレビも、やはり世界中からモニターされており、正恩氏の学校教室での喫煙もその日のうちに明らかになってしまった。

もともと正恩氏は愛煙家で、絶対的独裁者だけに、どこでタバコを吸おうが知ったこっちゃないと言われれば、それまでだ。しかし、北朝鮮は国家的に禁煙運動を進めていると公言し、正恩氏自らが「禁煙運動を進めろ」と指示しているのだ。それにもかかわらず、「中等学院」という教育現場で、タバコを吸う姿を公開する無神経さには、あきれるしかない。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記