中国当局が北朝鮮の「武器取引ネットワーク」を摘発か

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中国の公安当局が、北朝鮮との国境と接する遼寧省丹東市を舞台に、北朝鮮と兵器部品や材料の密売を行ってきた数十人の中国人を逮捕したようだ。また、中国公安の調査は北朝鮮の工作員にも及んでいる可能性がある。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が16日、中国の対北朝鮮消息筋の話として報じたところでは、「3月初め、大連の税関警察が丹東に出動し、密輸業者数十人を緊急逮捕し、調査に入った」という。

電気拷問も駆使

この消息筋によると、密輸業者らは遼寧省の東港沖で、北朝鮮の軍需部門「第2経済委員会」との間で武器取引を行っていた。公安当局は、彼らの関係先からコンピュータと各種文書、数百万元相当の金品を押収。さらには中国で活動する北朝鮮の工作員複数人を召喚しているという。

密輸業者らが、北朝鮮との間でどんな物を取引していたのかは詳らかでないが、どうやら電子部品やレアメタルの類であるようだ。また、中国公安は久しく前から密輸業者らの動向を追跡し、国連の対北朝鮮制裁決議2270号を受けて摘発に動いたとされる。

一方、読売新聞は11日、「中国の治安当局が6月上旬、中朝国境地域の遼寧省丹東に駐在する北朝鮮の工作員幹部の身柄を拘束し、多額の現金を押収していた」と報じている。

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この件と、RFAの報じた3月の摘発の間につながりがあるのかはわからない。しかしいずれにせよ、今後も中国が本気で動くなら、北朝鮮の工作活動は大きく制限されることになる。

従来、中国の公安は北朝鮮の体制維持を重視し、中朝国境で活動する脱北者支援団体や北朝鮮の民主化グループを強くけん制してきた。わがデイリーNKジャパンとも深い関わりのある韓国の人権活動家・金永煥氏はかつて、中国当局によって長期にわたり拘束され、電気拷問など様々な拷問を受けた体験を語っている。

(参考記事:睡眠妨害、電気拷問、殴打…体験者が語る中国当局の拷問実態

「美女脱北」で警戒

また、北朝鮮は中国でサイバー攻撃の拠点を運営。韓国などへのハッキングを行ってきた経緯もあるが、そんなことが出来たのも、中国公安の実質的なお目こぼしがあったればこそだ。

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しかし、核・ミサイル開発の暴走に加え、北朝鮮レストラン従業員らの集団脱北をめぐり北と韓国の諜報戦が激化していることもあり、これ以上の増長は許容できないとの判断が出てきたのかもしれない。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記