同氏はその後の2006年に、英領バージン諸島に北朝鮮のフロント企業、DCBファイナンスを設立したことが、「パナマ文書」によって明らかになっている。北朝鮮が初の地下核実験を行ったのは、同年10月のことだ。そのことから、コーウィ氏がタックスヘイブン(租税回避地)を利用し、北朝鮮の核開発や武器取引に関与していた疑惑さえ浮上している。
(関連記事:北朝鮮、タックスヘイブン経由で核開発資金を調達か…「パナマ文書」で疑惑浮上)バレ始めた手口
解散に至った経緯には不明な点もあるが、核開発やミサイル発射に対する国連制裁が影響したであろうことは想像に難くない。北朝鮮に対する監視は厳しさを増しており、制裁逃れの手口もバレてきている。また、外貨稼ぎの柱のひとつだった海外でのレストラン経営が、女性従業員の集団脱北で難しくなっている状況もある。
(参考記事:いよいよバレはじめた北朝鮮「制裁逃れ」の手口)(参考記事:北朝鮮レストラン「美貌のウェイトレス」が暴く金正恩体制の脆さ)
金正恩体制の懐具合はいよいよ、厳しいものになっていくかもしれない。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。