北朝鮮に「現代の奴隷」が110万人…子どもたちにも強制労働

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オーストラリアの人権団体「ウォーク・フリー・ファンデーション(WFF)」は先月31日、世界で「現代の奴隷」状態にある人の数が、成人と子どもを合計すると4580万人にも及ぶと明らかにした。

WFFは3年前から、生まれながらにして奴隷状態にある人や性労働のため人身売買された人、工場、鉱山、農場などにおける強制労働者など、各国の奴隷状況や政府の取り組みを調査した報告書を発表している。それによると、最も人数が多かった国はインドで、全人口13億人のうち、1千840万人が奴隷状態だった。

幹部は犯罪者を私的な奴隷に

そして、人口比率では北朝鮮が1位。2500万人のうち4.37%に相当する110万人が奴隷状態にあるとされた。

悪名高き北朝鮮の政治犯収容所にはおおよそ20万人の政治犯が収容されていると見られており、彼らは、過酷な労働を強いられている。これに加えて、教化所(刑務所)や労働鍛錬隊(強制労働キャンプ)などの拘留施設、そして炭鉱や農場での強制労働を合わせたとすれば、110万人という数字は決して誇張ではない。

また、最近では党や国家機関の幹部が、拘禁施設の受刑者を勝手に連れてきて、自宅の新築工事をやらせるなど、私的な目的でこき使っている実態があると米政府系のラジオ・フリー・アジアは伝えている。まさに「現代の奴隷」そのものだ。

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さらに、WFFは「子どもの強制労働」も現代の奴隷と定義している。

北朝鮮では、中学3年から大学を卒業するまで、「農村支援」という名目で、田植え戦闘などの農作業に強制的にかり出される。農村支援がない冬には、肥料や燃料の木を一日中集めなければならない。さらに、学校の教員の畑作業の手伝い、引越の手伝いにもかり出される。子どもたちは、学校においても労働を強いられており、彼らも「現代の奴隷」に含まれるとも言える。

最も非難されるべきは、北朝鮮が、収監者や一般大衆、そして子どもたちの強制労働を「奉仕活動」や「国家への忠誠」という大義名分に置き換えて正当化していることだ。そして、奉仕活動で成果を出せなければ「忠誠心が足りない」と政治的に非難される。そして、その代償として要求されるのは「カネ」である。

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北朝鮮が掲げる「ウリ(我々)式社会主義」は、大衆の強制労働や強制奉仕によって成り立っているに過ぎないのだ。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記