清原和博被告の覚せい剤はどこから来たのか? 対日密輸ルートの変遷

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東京地裁は5月31日、覚せい剤取締法違反に問われた元プロ野球選手の清原和博被告に対し、懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。報道によれば、清原氏はこれを受けて「(将来的には)心も体も万全な態勢にして、野球に向き合いたい」と、涙を流しながら語ったという。

再犯の懸念

この言葉が、現実のものになることを切に望む。しかし巷では、早くも清原氏の今後を心配する声も上がっているようだ。

理由のひとつは、覚せい剤使用者の再犯率が高いにもかかわらず、保護観察が命ぜられなかったこと。また、清原氏の知名度を狙って、大手芸能プロダクションが時期尚早な「復帰」劇を早くも仕掛けているという話もある。

そして最大の懸念要素が、清原氏の覚せい剤の「入手ルート」が解明されていないことだ。密売人たちとの関係を完全に清算せずして、本当に立ち直れるのだろうか。

そんな懸念が募る中、今月2日には那覇港に停泊中のマレーシア船籍のヨットから覚せい剤約600キロが押収され、乗っていた台湾人乗員6人が逮捕された。押収された覚せい剤の末端価格は400億円以上とみられ、一度に押収される量では国内最大級だ。

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いったい、清原氏を蝕んだ覚せい剤はどこから来たのだろうか? 在日韓国人ジャーナリスト李策氏が、その「源流」を辿るレポートを書いているが、それによれば、戦後の対日シャブ密輸ルートは韓国、台湾、中国、北朝鮮などを変遷してきているという。

覚せい剤ダイエットも

一昔前には、日本で覚せい剤と言えば北朝鮮製が幅を利かせていた。2001年12月、覚せい剤の密輸を担っていたと思しき北朝鮮の工作船が、海上保安庁に追い詰められた末に爆沈。以来、日本では北朝鮮製覚せい剤のニュースは聞かれなくなってはいる。

しかしそれは、北朝鮮が覚せい剤と無縁の国になったことを意味してはいない。それどころか、現在では北朝鮮国内で覚せい剤が蔓延。女性たちの間では「覚せい剤ダイエット」が流行しているくらいだ。

(参考記事:北朝鮮女性の間で「覚せい剤ダイエット」が流行中

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大抵のことは恐怖政治で抑え込んでしまう金正恩氏が、繰り返し徹底取り締まりを命じてもこの有様なのだ。独裁による過度な権威主義が逆に権力の腐敗をもたらし、当局と密造業者との癒着により、取り締まりの空白地帯が出来ているのだろう。

いずれにせよ、日本国内で根絶を叫んだところで、海外に「シャブ天国」があれば流入は止まらないのだ。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

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