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しかしその一方で、覚せい剤の横流しが製造・密輸に関わる役人たちの利権になり、食い詰めた国民が、イチかバチかで運び屋を買って出る実態が確かにあるのだ。中朝国境でのたった100グラムの覚せい剤の密輸が、工作船のミッションと同種のものであるようには到底見えなかった。

中朝国境での取材経験を踏まえると、北朝鮮において覚せい剤というモノは、「国策」と「利権」のふたつの顔を持っているように思えるのである。

筆者がなぜこの見方にこだわるかと言えば、そこにこそこの薬物の「生命力」があると考えるからだ。

70年代には韓国から

そうしたイメージを持つようになったのは、新宿・歌舞伎町で北朝鮮製の覚せい剤を追う中で、ある外事捜査員からこんな話を聞いたのがきっかけだった。