「見損なわないで!3ヶ月で、あなたを元の姿にして送り出してあげるよ」
脱獄したヤクザを、肝の据わった女愚連隊長が助ける――まるで映画のような出来すぎたストーリーだ。まだ、義理と人情が生きていた1990年代の北朝鮮社会らしい話である。また、国家権力とは一線を画し、腕っぷしを頼りに生きるオトコの姿は、母性本能を呼び覚ますものだったのかもしれない。
その後、体調を回復した白氏は、韓国行きを決意。まだ、脱北が一般的ではなかった当時にあっさりと韓国行きを決意したのは、彼に「どこでも生き抜ける」タフさが備わっていたからに他ならない。
韓国へ入国した白氏は、自らの力で商売をはじめ、それなりに成功していた。すでに韓国人の弟分を従えていて貫禄をつけていた彼に聞いてみた。
「組織を再建したい」
「韓国に来てからの暮らしぶりはどうですか?」
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