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ところが、苦難の行軍の頃に、それらのシステムが破壊され、市場でモノを売らなければ生きていけない状況となった。そんな時代しか知らないチャンマダン世代にとって、国も指導者もありがたいどころか、商売の邪魔をし、自由なライフスタイルに干渉するだけの「目の上のたんこぶ」に過ぎない。

特に、韓流ドラマのブームが起きてからは、労働党の権威失墜はますます進んだ。豊かでオシャレな韓国の暮らしを目の当たりにしている若い世代にとって、北朝鮮当局のやっていることは「ダサくて耐えられない」のだ。いくら当局が韓流ドラマの視聴を厳しく取り締まっても、「知ってしまった韓国の現実」を記憶から消すことはできない。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋によると、若者に「自発的に忠誠を尽くせ」などと言うと露骨に鼻で笑われるような有様だという。「党なんて要らないんじゃないの?」と言い放つ若者もいれば、党大会が何なのかよく知らない若者も多いという。

そんな彼らが、北朝鮮の社会、政治、経済、文化、軍事の主流を占めつつあり、組織と集団を嫌い、個人の利益や幸福を優先する価値観を拡散させている。そのような現実との乖離に、北朝鮮の体制はいつまで耐えられるのだろうか。