北朝鮮には、2種類の軍人がいる。軍の思想統制や人事を掌握する「政治軍人」と、戦闘指揮を担う「野戦軍人」である。そして、前者の代表格は正恩氏の最側近として知られる黄炳瑞(ファン・ビョンソ)総政治局長であり、後者に含まれるのが2月に処刑されたと見られている李永吉(リ・ヨンギル)総参謀長や、まるで見世物のように虐殺された玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)前人民武力部長だ。
(参考記事:「家族もろとも銃殺」「機関銃で粉々に」……残忍さを増す北朝鮮の粛清現場を衛星画像が確認)そう、このところ相次いで姿を消したのは、いずれも野戦軍人の出世頭たちなのである。こうした状況をざっくりと分析するならば、叩き上げの野戦軍人たちが元々は党官僚である政治軍人たちとの権力闘争に敗れ、出世の「肥し」にされているようにも見える。
実際、韓国政府が2月10日、核実験に対する制裁措置として、北朝鮮南部・開城(ケソン)で展開してきた南北協力事業、開城工業団地の稼働を「全面中断する」と発表した際には、韓国の情報筋から次のような解説も聞かれた。