金正恩氏がやたらと「ミサイル自慢」をする理由

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米CNNは13日、2人の米政府当局者からの情報として「初の移動式弾道ミサイル発射の準備をしているとみられる兆候を、米偵察衛星がとらえた」と伝えた。

続いて朝日新聞も13日、韓国国防相当局者からの情報として、「北朝鮮で中長距離の弾道ミサイルを発射する兆候がある」と報道。また、ミサイルは中距離のムスダン(射程3千キロ以上)や米国に届くKN-08(射程6千~1万2000キロ)などの可能性があるともしている。ムスダンもKN-08も、これまでに発射実験は行われていない。

北朝鮮が弾道ミサイルの発射を行う場合、その射程の長さに注目が集まる傾向がある。その理由は、「北朝鮮がいつ、米本土を核攻撃できるようになるか」が主眼となっているためだ。しかし、重要なのは射程の長さだけではない。

しかし実際のところ、金正恩氏はミサイルを遠くまで飛ばす技術だけを追及しているわけではないはずだ。

正恩氏は、核弾頭と固体燃料ロケットを装着していつでも発射できる状態になった弾道ミサイルを多数、実戦配備し、なおかつそれを捕捉の難しい移動式発射台に載せた上で地下トンネルに隠し、仮に米国から攻撃されても、その同盟国である韓国と日本に耐えがたい損害を与える能力を備えようとしている――筆者はこのように理解している。

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つまり、「オレに手を出したら痛い目に遭う」ということを誇示することで、自分の安全を守ろうとしているわけだ。そのため、正恩氏の軍事的な暴走は、自国メディアを通じた情報開示とセットになっている。こうした情報戦略は金正恩時代の大きな特徴のひとつであり、その延長線上で、彼は自分の“ヘンな写真”までをかたっぱしから公開している。

そうである以上、北朝鮮が本当にムスダンやKN-08の発射を行うならば、その写真や、あるいは映像までが公開される可能性がある。

問題は、日米韓などはそれを見て性能の分析をすることはできても、制圧する手段は容易に持ち得ないという事実だ。今後、経済制裁がじわじわと効果を発揮する可能性はあるが、しばらくの間、金正恩氏の暴走は止まりそうにない。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記