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「北朝鮮に限らず、各国の軍では雑巾、というよりも古着などを裁断したウエスが大量に使われています。用途はもちろん、兵器の手入れ。自動小銃や砲は火薬の燃えカスが砲身や機関部に溜まり易く、泥水をはね飛ばしながら走行する戦車や装甲車の汚れもひどい。頻繁に掃除をしなければ正常に動かなくなり、作戦行動に重大な影響が出てしまうんです」

もちろん、日米韓のような工業国で軍がウエス不足に泣く、という事態は考えにくく、これはやはり、経済難が慢性化した北朝鮮の「弱点」と言えるものだろう。

そもそも、朝鮮人民軍を取り巻く環境は劣悪で、末端兵士の間では物資の取り合いなどで殺傷事件も発生。空腹に耐えかねた兵士の中には、中国側に越境して強盗殺人を働くケースも多い。

(参考記事:北朝鮮、軍内部で「殺し合い」…ミサイル発射の影で

ちなみに、北朝鮮国内で急速に広がる「草の根資本主義」においては、ヴィンテージ・デニムから下着に至るまでのアパレル製品は重要なアイテムであり、ちょっと古くなったからと言って、軍隊に供出しようという国民は多くないようだ。

(参考記事:北朝鮮に「ブラジャー」がもたらした意識変化

それでも、金正恩氏が本気で、軍の「雑巾不足」解消に動くかはわからない。