北朝鮮は7日、事実上のミサイル「光明星4号」を発射した。光明星とは故金正日氏の呼称の一つであり、この時期に発射したのも16日の正日氏の誕生日(光明星節)を祝う祝砲の意味合いを持つ。ちなみに金日成氏は「太陽」にたとえられ、誕生日の4月15日は「太陽節」と言われる。
ミサイル発射が成功したことも相まって、北朝鮮当局は16日に向けて祝賀ムードを高め、「無敵必勝の金正日将軍」の偉大性を宣伝している。ただし、父・金日成氏と違い、正日氏が実際の戦争で「将軍」として陣頭指揮をしたわけではない。
戦闘では将軍様ではなかった金正日氏だが、女性関係において「将軍級」だったとことは数々の証言から明らかになっている。
(参考記事:金正日の女性関係、数知れぬ犠牲者たち)有名なところでは金正日氏がつくったとされる「喜び組」。この喜び組でさえも、北朝鮮最高権力のスキャンダルが詰まっているセクション「5課処女」の一つにすぎない。正日氏は、地方を現地指導した際に、美貌の女性に対してセクハラまがいの行為と甘い言葉で、5課配属の話をもちかけたことがある。5課処女は彼にとって特別な意味を持っていたようだ。
その金正日氏の最後の愛人は、キム・オク氏と言われていたが、つい最近、北朝鮮内部から別の人物が「最後の愛人」だったという新たな情報が舞い込んできた。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面その人物とは、ポチョンボ電子楽団のスター歌手だった玄松月(ヒョン・ソンウォル)氏。
彼女には、金正恩氏の「元カノ」であるとの説もある。情報がすべて事実なら、正日・正恩氏の親子が愛人を取り合ったのか、と驚いてしまうが、ある内部情報筋によると、正恩氏の方は根拠のない噂話だとのことだ。そして、労働党幹部や事情を知る住民たちは、テレビで玄松月氏が出てくると、「将軍様(金正日氏)の恋人」「愛妾」と噂するのだという。
元歌姫だった玄松月氏は、中国・北京での海外初公演をドタキャンして中国共産党に恥をかかせ、一躍有名になった北朝鮮のガールズグループ「モランボン楽団」の団長でもある。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面「英雄色を好む」という言葉があるが、金正日氏が女性関係で将軍級だったとしても、北朝鮮の国家運営において英雄だったとは、お世辞にも言えない。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。