北朝鮮の銀行は、海外に住む朝鮮人、韓国人の間でも信用を全く失っている。その理由は驚くべきものだった。
咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋が米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に語ったところによると、かつて、貿易銀行と合営銀行の2つが外為業務を扱っていた。
在日朝鮮人は、日本の「朝銀信用組合(朝銀)」などを通じて、北朝鮮に住む家族や親戚に送金をしていた。在米朝鮮人もこの2つの銀行を利用していた。
ところが、90年代初め頃、北朝鮮当局は「経済が苦しい」との理由で、送金額の10分の1しか渡さなくなったというのだ。また、その10分の1も外貨の現金ではなく「パックントン」と言われる外貨兌換券で渡すようになった。この外貨兌換券とは、貿易銀行が発行するもので、外貨と同じ価値を持つとされていた。
しかし、国内使用で問題はなくても、いつ価値や効力を失うかわからない外貨兌換券では貯蓄する意味がない。貯蓄するには、ヤミで改めて両替する必要があった。