被ばくによる死亡者の発生については、全くもって不明だ。そもそも収容所は極めて劣悪な環境にあり、拷問や暴行で殺される人が後を絶たない。遺体は放射性廃棄物扱いされ統制区域に埋められるという。
こうした例に限らず、北朝鮮の核開発による弊害はあちこちで出ている。たとえば、ウラン鉱山で働く労働者の平均寿命がその他の地域に比べ著しく短い。また、放射能汚染による奇形児の出産も多発しているという内部情報筋の証言もある。
(参考記事:北朝鮮、ウラン鉱山近辺で深刻な放射能汚染)北朝鮮が核実験をする度に、国際社会への脅威という視点で論じられることが多いが、それ以上に北朝鮮国民の生存権も脅かしているのだ。
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。