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● チョン・ヨンファ氏とキム・ジュイル氏は、10歳のときに最初の処刑を見た。どちらの場合も、教員は授業を中断して、子どもたちを処刑場所に連れて行った。 ● チョン・ヨンファ氏は、16歳のときに再び処刑を見た。工場責任者が、工場の業績不振に伴いスパイとして処刑された。恐ろしさを感じたし、誰でもがこのような処刑の犠牲者になり得ると考えた。 ● リ・ジェグン氏は、北朝鮮で過ごした30年間で少なくとも10回の公開処刑を目撃した。所属する作業班全員が処刑場所に連れて行かれた。そこには1000人ほどが集まっていた。ある男性は朝鮮労働党の幹部たちを批判したとして処刑された。リ氏は、処刑を見せることの目的を次のように語った。 「まるで遠足のように公開処刑場所に連れて行かれた。誰も、党への反対や金日成の思想への反対をしようとは思わなかった」

(参考記事:元死刑執行人が証言「死刑囚は鬼の形相で息絶えた」

北朝鮮の行政システムは、国民に十分な食料を与え、幸福にするためにまともに機能してきたとは言い難い。しかし人間の心理を操り、体制を維持することにかけてはそうではなかったようだ。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記