2013年12月、当局は最高指導者金正恩の義理の叔父、張成沢を処刑した。張成沢の死の少し前まで、張成沢は朝鮮労働党中央委員会行政部長であった。処刑は公開されなかったが、これに関する情報は朝鮮国営メディアにより内外に伝えられた。また、報告によれば、多くの国民が、政府による処刑およびその理由の説明会に強制的に出席させられた。北朝鮮自身の説明によれば、国家安全保衛部の特別軍事法廷は張氏が「敵らと思想的に同調し、わが共和国の人民主権を転覆する目的で国家転覆陰謀行為を敢行した」として有罪宣告している。判決では「凶悪な政治的野心家、陰謀家であり、万古の逆賊として非難した」と報告されている。死刑判決が出されたのは張氏の逮捕からわずか3日後であった。朝鮮労働党政治局での会議での逮捕映像が、北朝鮮のテレビ局で放映された。最高指導者金正恩が議長を務めた政治局拡大会議の場での手続の公平さは疑問である。この報告は判決の前に行われ、張氏が「不可解な思考により犯罪を犯し」、「党および革命に多大な害を与えた」とすでに結論づけていた。
ICCPR第6条(4)項が定める弁明あるいは減刑を求める権利およびICCPR第14条(5)項が定める刑罰にじて上訴する権利に違反して、死刑は特別軍事法が言い渡した直後に実行された。調査委員会が知ったところでは、張成沢の裁判および処刑は、北朝鮮自身の説明に基づけば、国際人権法に違反する要素が多数ある。