- 元人民保安省担当官は、平壌の人民保安省本省の裁判前取調局では小さな金属檻を使用していたことを明らかにした。被害者は数時間も檻に詰め込まれ、手足への血流が阻害され、身体の他の部分は腫れ上がった。被害者はこげ茶色になった。檻から出した後に被疑者の身体を急激に「伸ばし」、さらなる激痛を与えた。
- 証人はまた、中佐の階級の上級取調官から、拷問技術の訓練を受けたと語った。この上級官は、人民保安省担当官に対し、紐を使って被疑者の血流を阻害しながら同時に身体的に無理な姿勢を取らせて最大級の苦痛を与える方法を教えた。
➢ 708
原則として、北朝鮮刑法第253条は拷問その他の違法手段による取調を禁止している。北朝鮮は、拷問および残虐な方法での取調の被害者には正当な補償を行っているとしている。被害者は拷問を受けたときには検察官に報告することができ、朝鮮労働党、司法省、国家審査委員会に申し立てができる特別の手続がある。
➢ 709
ただし、実際上は、加害者は責任を問われない。調査委員会が入手している情報では、加害者が責任を問われた例は1例のみである。調査委員会が収集した情報には、拷問被害者に対して、国際法が要求する適切、有効、かつ迅速な補償が行われた例はない。
(b)国家安全保衛部による拷問および非人道的取扱
➢ 710
「反国家および反人民犯罪」の取締の中心機関である国家安全保衛部拘置所での取調における被疑者の取扱は特に残忍かつ非人間的である。国家安全保衛部が拘置した被疑者は通常、外部との連絡を遮断され、さらに弱い立場になる。