E.恣意的拘禁、拷問、処刑、強制失踪、政治犯収容所

➢ 693
委員会は、「市民的および政治的権利に関する国際規約」(ICCPR)の第6条(生命に対する権利)、第7条(拷問、残虐な取り扱い、非人間的あるいは屈辱的取り扱いからの自由)、第9条(身体の自由および安全に対する権利)、第10条(被抑留者の人道的取り扱い)、第14条(公平な裁判を受ける権利)に基づく北朝鮮の人権保護義務を中心として、恣意的拘禁、拷問、処刑、収容所に関する報告を作成した。また、「児童の権利に関する条約」(CRC)第6条(生命に対する権利)、第37条(拷問および違法な自由剥奪からの自由)、第40条(抑留中の処遇)が定める児童の権利にじても考慮した。

1.恣意的逮捕および強制失踪

➢ 694
北朝鮮の法令は、捜査時および裁判審理前の段階での捜索、没収、逮捕といった広範な権限を公安当局に与えている。ICCPR第9条第(3)項は、刑事上の罪に問われて逮捕され又は抑留された者は、裁判官又は他の官憲の面前に速やかに連れて行かれるものと定めており、北朝鮮はかかる国際的義務があるにもかかわらず、抑留手続の監視は裁判所ではなく検察当局のみが行っている。刑事訴訟法によれば、検察官は逮捕状を発行して被疑者に提示する必要がある。抑留継続の許可申請は検察官が逮捕から48時間に行わなければならないとされている。

➢ 695
実際には、上記の定めがあるにもかかわらず、北朝鮮の法令は必ずしもこれらに従っていない。韓国の大韓弁護士協会が2012年に実施した北朝鮮の抑留および裁判実態の調査では、逮捕された時点で抑留の根拠を示す逮捕状その他の文書を提示されたのは回答者のうじわずか18.1%だった。大半の者は逮捕理由を告知されていなかった。被疑者には逮捕理由が口頭でも告知されないことが少なくなかった。

  • キム・ガンイル氏は稀少松茸の販売のために中国に出入りしていたことを当局が把握し、逮捕状なしで逮捕された。キム氏は逮捕理由を告げられず、逮捕状も提示されなかった。調査委員会が秘密聞き取り調査を行った他の証人の多くも同様の経験をしていた。

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