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3人の子どもを生んだ高ヨンヒが、次に狙ったのは国母の地位だったのかもしれない。しかし、彼女は2004年にロシアで客死。その6年後の2010年に後継者として公式登場する愛息・正恩の晴れ姿をみることなくこの世を去った。

元在日朝鮮人で、父親は日本軍の協力者。金正恩の偶像化という側面から見れば、まことに厄介な二人の経歴だが、当時の在日朝鮮人として決して珍しくはない。

誤解を恐れずに書くなら、高ギョンテクや高ヨンヒの「負の経歴」は、それも含めて在日朝鮮人の歴史だ。日本の植民地支配によって海外に出て行かざるをえなかったが、もう一度祖国へ帰って人生を築きたいーーそんな希望と夢を抱き、北朝鮮へ渡った帰国者たちの足跡そのものなのである。

二人の人生、そして帰国者たちの足跡を闇に葬り去ることは、在日朝鮮人の血と汗と涙の歴史に対する冒とく、さらに「白頭の血統」への冒とくでもある。

金日成・正日親子も「海外組」

北朝鮮で生まれ育っていない——つまり「海外組」という出自を理由に、帰国した在日朝鮮人の大勢が、差別と抑圧を受け、粛正によって命を落とした。しかし、それを主導した張本人である金日成こそが、実は「海外組」の元祖である。

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