北朝鮮・平壌の金日成広場で「朝鮮労働党創建70周年記念閲兵式(軍事パレード)」が開かれた。通常なら午前から開始される軍事パレードだが、雨天のため15時(日本時間15時30分)から開始された。

今回の軍事パレードの注目すべき点については、本欄でも既に述べているが、大方の予想通り新兵器が公開された。その新兵器とは300ミリ多連装ロケットと、大陸間弾道ミサイル(ICBM)KN-08。とりわけ、米軍が警戒するKN-08については、弾頭部分の形状に変更が加えられており、何らかの改良がなされた可能性がある。

強行すると見られていたミサイルの発射は、現段階ではとりあえず見送られたようだが、軍事パレードでKN-08を公開したことから、北朝鮮は米国本土に達する長距離弾道ミサイルの開発は継続し、今後も発射カードをちらつかせるだろう。

ところで、金正恩氏はあれほどアピールしていたミサイル発射を、なぜ今回は見送ったのだろうか。その判断の裏には、中国の存在が見え隠れする。

「北朝鮮がミサイルを発射か?!」と全世界が注目するなか、軍事パレード直前の4日、中国共産党序列5位の劉雲山政治局常務委員を団長とする党代表団が、軍事パレードに出席することが明らかにされた。こうしたなかでのミサイル発射は中国共産党に顔に泥を塗ることになる。さすがの金正恩氏も中国側に配慮を示したようだ。

北朝鮮がミサイルを発射しなかったせいか、軍事パレード前日(9日)には、金正恩氏と劉氏を団長とする中国共産党代表団は接見を行い、10日付の朝鮮中央通信と労働新聞で報道された。労働新聞では3面全面にわたって接見と記念撮影を報じたが、最近の、北朝鮮の中国に対するネガキャンからすると異例の報道ぶりだ。

さらに、パレード当日、壇上に上がった金正恩第1書記のすぐ横に、劉氏が並び立った。9月に中国・北京で開かれた抗日戦勝式典に出席した崔龍海書記が端に追いやられ、式典直後には、北朝鮮が習近平氏と朴槿恵氏に対して、「我々をひどく侮辱して極めて無礼だ」と非難していたことを考えると、これも異例の厚遇ぶりだ。

こうした中国共産党の動きは、金正恩氏のミサイル発射を断念させるためだった可能性は充分にある。もちろん、今後、北朝鮮がミサイルを発射する可能性は残されているが、中朝関係が改善すれば、金正恩氏は核・ミサイルという刀を鞘に収めるかもしれない。

そして、張成沢処刑以後、冷え込んでいた中朝関係が改善すれば、日本だけでなく国際社会は、金正恩体制に対するアプローチをまたもや見直さなければならなくなる。

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