1年前に発生したセウォル号の沈没事故をめぐり、朴槿恵政権と遺族らの対立が激化している。警察と遺族を支持するデモ隊との衝突も発生し、ソウル市中心部は一時、騒然とした空気に包まれた。こうした騒乱が必ずしも遺族らの意図するものでないとしても、彼らの怒りが、韓国社会に大きな問いを発しているのは事実だ。
沈没事故をきっかけに噴出した韓国社会の矛盾には、どれほどの根深さがあるのか。人々の怒りの所在について、ジャーナリストの李策氏がレポートする。
「陰謀論が出るのも当たり前」
「事故発生からこれほど時間が経つのに、疑惑は解明されるどころか深まる一方です。このままでは、韓国は立ち直れません」
『セウォル号の「真実」』(竹書房・以下、前掲書)の著者、郭東起氏はこう語る。