関係者は街を案内しながら、声を絞り出すように言った。いっせいに子供を失った数百人の親たちが、毎日顔を合わせながら暮らす街の沈鬱さは、何とも言い表し難いものがあった。
一般的な航空機事故や船舶事故の犠牲者らは、たまたま乗り合わせた他人同士であることが多い。しかし街そのものが犠牲を出したセウォル号の場合、安山の人々の脳裏には事故の記憶が強く残り続けることになる。
関係者は、語気を強めて言った。
「疑惑について『根拠がない』と言うなら、政府は堂々と事実を明かせば良いのです。それをせずに言論を力で抑え込むのは、知られてはマズイことがあるからでしょう。こうなったら、政府など信じることはできない。だからこそ私たちは特別法を求めてきたのです」
断食する遺族の前でピザを食い散らかす
遺族たちの求めてきた特別法は、民間の専門家が参加する委員会に強力な捜査権と起訴権を付与し「聖域なき捜査」を行わせようというものだった。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面民間に起訴権まで与えた事例は過去になく、政府与党だけでなく保守系のメディア、市民団体などが強く反発。一部では遺族に対する同情心まで吹き飛び、遠慮のない非難の言葉が飛び交った。