北朝鮮の平安南道成川郡で、国営工場の生産物資が民間市場(チャンマダン)へ流出するのを遮断するよう、当局が強力な統制措置に乗り出したことが分かった。内部情報筋が伝えた。

デイリーNKの平安南道の消息筋によれば、成川郡党が先月22日、組織部主導で主要部門の幹部を招集し、「地方発展20×10政策」に基づいて建設された地方工業工場の生産物資がチャンマダンに流入するのを「根源的に遮断する」よう指示したと明らかにした。指示の核心は、国家主導の流通管理体制の確立にあるという。

今回の措置は、国家による流通秩序の再建を求める中央の強い意向を反映したものとされる。郡党組織部は会議の場で「手綱を引き締めてこそ人民が生きる」との表現まで用い、国有物資の横流しを完全に根絶する姿勢を強調した。

特に当局は、工場幹部や従業員など物資を扱う関係者が、たとえ一部であっても物資を横流しし市場商人と取引した場合、「容赦なく司法処理する」と警告。実際に郡党は「党の方針に違反して物資を密かに流出させた場合、即時の党除名や解任、法的処罰、追放も辞さない」とする厳しい通告を出したという。(参考記事:北朝鮮警察と「キレた女性」の集団が大乱闘…30人が刑務所へ

もっとも、現場では生産自体が十分に稼働していない実態があり、今回の措置に対して懐疑的な見方も出ている。消息筋は「工場がフル稼働していない中で物資不足の原因を市場に求め、内部流出を防ごうとしている」と指摘。その背景には、国営商店への独占供給力を維持し、住民を再び国家配給網の下に組み込もうとする統制戦略があるとの見方を示した。

一方で、長年にわたりチャンマダンに依存してきた住民の需要と、品不足が続く国営商店との間には大きな隔たりがあるとされ、政策の実効性には疑問も残る。住民の間では「市場を枯れ死にさせて生活が良くなるのか」との不安や、「商品が不足する中で市場だけを取り締まっても人々の足は国営商店に向かわない」との声も上がっているという。