北朝鮮で根強い「後継者は息子」説…娘ジュエは“将来の補佐役”との見方

北朝鮮の金正恩総書記の娘・ジュエ氏が相次いで軍事現場に姿を見せていることを受け、同国内では後継者をめぐる議論が活発化していると、デイリーNKの現地消息筋が伝えている。しかし、北朝鮮内部ではその見方が必ずしも一致しているわけではないという。
興味深いのは、一部幹部の間で浮上している「別のシナリオ」だ。消息筋が23日までに韓国デイリーNK編集部に伝えたところでは、ジュエ氏が後継者そのものではなく、将来的な権力継承を支える“補佐的存在”に位置づけられる可能性が語られているという。消息筋によると、こうした見方の背景には、金正恩氏に男子後継者が存在するとの前提があるという。そのうえで、ジュエ氏の一連の軍事活動は、単なる後継者教育ではなく、「体制の安定性を高めるための長期的布石」として理解されているとのことだ。
金正恩氏に息子がいるとの説は、韓国を中心に「浮かんでは消える」を繰り返してきた。一方、同国内における「後継者は息子説」は、密かに流入する海外情報が根拠となっている可能性がある。(参考記事:ジュエの陰で浮かんでは消える金正恩の「青白く痩せた息子」)
また、先代の金正日総書記を実妹の金慶喜(キム・ギョンヒ)元党書記が、現在も金正恩氏を金与正(キム・ヨジョン)党総務部長が補佐している例が、「次も同じになるのでは」との創造力をかきたてているのかもしれない。
実際、仮に男子後継者が存在していてい前面に出てくる場合でも、ジュエ氏が一定の権威と知名度を備えていれば、権力移行期における補完的役割を果たすことはあり得る。いわば「権力の緩衝材」として機能させる構図である。
一方で、韓国の国家情報院はジュエ氏の後継可能性に重きを置いており、息子の存在説は後退している。ジュエ氏が戦車を操縦するなどの演出についても、金正恩氏の後継者時代を想起させる「オマージュ」との見方が示されている。
ただ、北朝鮮社会に根強い家父長的価値観を踏まえれば、女性指導者誕生への心理的ハードルは依然として高いとみられる。中国に派遣された幹部らの間でも、女性元首の可能性を否定する声は少なくないと消息筋は語っている。
果たしてジュエ氏の頻繁な登場は、後継者教育の一環なのか、それとも別の後継構図を支える“演出”なのだろうか。




