「幽霊のように生きる」北朝鮮国民、国家の統制強化で不安が極限に

2月末の朝鮮労働党第9回大会以降、社会統制が全方位的に強化される中で、危機感を抱いた北朝鮮の人々が「幽霊のように目立たず生きる生活」を自ら選んでいることが分かった。

27日、デイリーNKの咸鏡北道消息筋は、「清津市をはじめとする道内の各市・郡では、第9回党大会以降、目立った資産を持って動く住民に対する監視が強まっている。特に4月15日(金日成主席の生誕記念日)を迎えて監視が一段と厳しくなり、住民たちは恐怖に包まれている」と伝えた。その上で、「今のような時期には、むしろ動かず、まるで存在しないかのように幽霊のように暮らすべきだという空気が広がっている」と述べた。

消息筋によると、第9回党大会と4・15を機に強化された国家保衛省や社会安全省による監視、市場統制の最大の標的となっているのは、卸売業を手掛ける「トンジュ(新興富裕層)」たちだ。彼らは自ら取引を縮小し始めており、一般の小売商人たちも、これまで気兼ねなく並べていた露店の商品を減らし、「息を潜めて暮らそう」と身を縮めているという。

中でも一部のトンジュは、4・15行事後の監視を避けるため、有力な貿易会社や企業所に名義だけを預け、自らは静かな場所へ身を隠したり、七宝山海水浴場のような著名な海水浴場を巡ったりしながら1カ月単位で滞在するなど、一歩引いた場所から情勢を見極めようとしているという。

また、監視対象から外れない貿易会社の幹部らも、外貨の隠匿に奔走しているほか、その配下で外貨稼ぎに従事していた商人たちも、当局の監視と統制が緩むまで「幽霊生活」を選んでいる実情だ。

(参考記事:「恐怖で息もできない」北朝鮮 “幹部粛清” の生々しい場面

さらに、これまで座ったまま賄賂を受け取ったり、生産物をひそかに横流ししたりして利益を得ていた機関・企業所の幹部らも、「今回摘発されれば確実に失脚する」として、周囲からの密告を恐れ、極度に慎重な姿勢を見せている。

加えて、道内の党幹部でさえも、金正恩総書記の「革命的転換を起こせ」との指示がどこまで波及するのか見通せず、不安の中で右往左往しているという。全方位的に強化された社会統制と監視の下、誰もが息を潜めて情勢を見守っていると消息筋は説明した。

一方で消息筋は、「卸売商トンジュの潜伏により、流通網が一時的に麻痺する可能性が指摘されている」とし、「彼らの活動に依存して日々の暮らしを支えてきた住民の生活は混乱し、市場に頼ってきた住民の不安も極限に達している」と伝えた。