国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ11日、中国当局に拘束されている脱北女性について、北朝鮮への強制送還を直ちに中止するよう中国政府に求めたと発表した。女性は韓国への渡航を試みた際に拘束され、北朝鮮に送還されれば深刻な人権侵害に直面する恐れがあるとしている。
北朝鮮当局は同じ脱北者でも、単に出稼ぎのため中国へ行った人と、韓国行きを試みた人への対応を分けているとされる。中国へ行っただけでも酷い目に遭わされるが、基本的には刑事事件で終わる。しかし後者の場合は「スパイ」「反逆者」「政治犯」として罪を問われ、極刑を下されることも珍しくない。たとえば2016年4月、中国浙江省の北朝鮮レストランから美人で評判だった女性従業員ら13人が集団で逃亡した事件があった。従業員らは間もなく韓国に亡命し、事件は大々的に報道された。北朝鮮のメンツが、著しく傷ついたということだ。
聯合ニュースは同年7月29日、韓国のNGP「戦後拉北者被害家族連合会」の理事長で、北朝鮮の内情に詳しい崔成龍(チェ・ソンリョン)理事長の話として、この事件の顛末を伝えた。(参考記事:美貌の北朝鮮ウェイトレス、ネットで人気爆発)
崔氏は平壌消息筋からの情報として、金正恩党委員長(当時、現総書記)の指示により、5月5日、平壌の姜健(カンゴン)総合軍官学校で事件の責任者ら6人が公開処刑されたと証言している。
同氏はさらに、「国家安全保衛部、偵察総局、外務省、人民保安部の幹部80人余りと海外派遣労働者の家族100人余りが見守る中で執行されたらしい」と説明。一方、脱北した従業員の家族らについては、妙香山(ミョヒャンサン)の施設に拘束され思想教育が施されたとしている。
こうした刑の執行は言うまでもなく「見せしめ」が目的であり、現場に動員されていなくとも、関係者にはその時の様子が伝わる。海外の北朝鮮レストランは若い女性にとって憧れでもあったが、この事件以降、志願に慎重になる人が増えたとも言われる。
