北朝鮮は平壌を中心に高密度の地対空ミサイルや高射砲を配備し、地下要塞化した指揮施設で防空網を統制している。しかし、指揮系統は金正恩総書記を頂点とする極端な中央集権型で、現場部隊の独立判断権はほぼ存在しない。専門家は「通信網が遮断されれば、北朝鮮防空網もイラン同様、一気に沈黙する可能性が高い」とみる。
(参考記事:二つの核危機、二つの対応 「イランに強硬」「北朝鮮は放置」の危うさ)一方で、両国には決定的な違いもある。イランが地上施設中心の防空網を構築してきたのに対し、北朝鮮は指揮所、ミサイル基地、通信中継所を徹底的に地下化している点だ。山岳地形を活用した地下トンネル網により、斬首攻撃や初動打撃への耐性は北朝鮮の方が格段に高いとされる。
韓国の軍事専門家は「イランは初日で防空網を喪失したが、北朝鮮の場合、制空権獲得までに一定の時間と損耗を覚悟する必要がある」と指摘する。ただ、電子戦とサイバー攻撃による指揮通信網遮断が成功すれば、防空能力が急速に低下する点は共通しているという。
今回のイランでの事例は、現代戦において防空兵器の性能以上に、通信・指揮統合と電子戦耐性が決定的要因となることを改めて示した。北朝鮮も核・ミサイル開発と並行して防空体制を誇示してきたが、体制維持を優先する中央集権的軍事構造そのものが、最大の弱点となるかもしれない。
