2月28日に始まった米国とイスラエルによる対イラン大規模攻撃で、イランの防空網がほぼ抵抗を示さず、早期に無力化されたことが、欧米主要メディアや軍事専門家の分析で明らかになった。最大の要因は、電子戦(EW)による指揮通信網の制圧とされ、同様の構造を持つ北朝鮮防空体制の脆弱性にも改めて注目が集まっている。

欧米メディアによると、攻撃初動で米軍は電子妨害機やサイバー戦部隊を投入し、イランの防空指揮網とレーダー通信を集中的に攪乱。イスラエル軍の精密誘導弾や巡航ミサイルは、迎撃をほぼ受けずに核関連施設や革命防衛隊司令部に命中した。迎撃ミサイル発射の映像や大規模防空戦闘の痕跡は極めて限定的で、「事実上、制空権は初日に奪取された」との見方が広がっている。

欧州の軍事研究機関は、イランの防空網について「装備自体は中東有数だが、統合指揮と通信の脆弱性が致命的だった」と指摘。S-300や国産防空ミサイル「バヴァル373」などの装備が分散配置されていた一方、中央司令部への依存度が極端に高く、通信遮断によって一斉に機能不全に陥ったと分析した。

この構造は、北朝鮮の防空体制とも酷似している。北朝鮮は平壌を中心に高密度の地対空ミサイルや高射砲を配備し、地下要塞化した指揮施設で防空網を統制している。しかし、指揮系統は金正恩総書記を頂点とする極端な中央集権型で、現場部隊の独立判断権はほぼ存在しない。専門家は「通信網が遮断されれば、北朝鮮防空網もイラン同様、一気に沈黙する可能性が高い」とみる。

(参考記事:二つの核危機、二つの対応 「イランに強硬」「北朝鮮は放置」の危うさ

一方で、両国には決定的な違いもある。イランが地上施設中心の防空網を構築してきたのに対し、北朝鮮は指揮所、ミサイル基地、通信中継所を徹底的に地下化している点だ。山岳地形を活用した地下トンネル網により、斬首攻撃や初動打撃への耐性は北朝鮮の方が格段に高いとされる。

韓国の軍事専門家は「イランは初日で防空網を喪失したが、北朝鮮の場合、制空権獲得までに一定の時間と損耗を覚悟する必要がある」と指摘する。ただ、電子戦とサイバー攻撃による指揮通信網遮断が成功すれば、防空能力が急速に低下する点は共通しているという。

今回のイランでの事例は、現代戦において防空兵器の性能以上に、通信・指揮統合と電子戦耐性が決定的要因となることを改めて示した。北朝鮮も核・ミサイル開発と並行して防空体制を誇示してきたが、体制維持を優先する中央集権的軍事構造そのものが、最大の弱点となるかもしれない。