党軍需工業部の幹部2人は、事故発生直後に、「転覆した艦を総会までに立て直すためには、ロシア製クレーンの導入が現実的かつ迅速な策だ」とする報告書を党中央委員会書記局に提出した。
立て直しに600トン級以上のクレーン4基が必要だが、清津はロシアに近く海上貿易の実績もあることから、ロシア側が協力さえしてくれれば、クレーンの導入は難しくないととする内容だ。ところが、2人は5月25日に解任・撤職(罷免)された。報告書を目にした金正恩氏は激怒し、こう言い放ったという。「事故のことを全世界に公開しただけでも面目を失っているのに、そこへ外国のクレーンまで導入するのは国の恥を重ねることではないか」
実際、38ノースによると作業は人力で、5月29日の画像では、作業員が岸壁で駆逐艦につないだとみられるロープを引いていたという。
消息筋によれば、罷免された2人はいずれも名前を聞けば誰もが知るような比較的高位の幹部だったが、その処分について、北朝鮮の国営メディアはいっさい報じていない。
正恩氏の苛烈な反応が、現場にさらなる混乱をもたらしている。
情報筋は、「軍需工業部も清津造船所も、今は大混乱でてんやわんやの状態だ。下手なことを口にすればすぐに首が飛ぶので、みな身をかがめている」と語った。
「粛清、心臓が凍る」
事故の責任を問われ、すでに軍需工業部のリ・ヒョンソン副部長ら4人が拘束されており、幹部たちは皆、『明日は我が身』とばかりに、火の粉を避けるのに必死だ。また、処罰を恐れて責任を押し付け合い、艦の損傷状況を過小報告するなど、事実の隠蔽も図っている。
