「潜水艦は重心を低く保つことが基本中の基本で、そのため最も重いバッテリーを艦底に配置している。あれほど艦橋を大型化すれば、潜航時の復元力を失い、ひっくり返るしかない」と指摘する。さらに「最も脆弱な艦橋部分からSLBMを発射すれば、強烈な振動と騒音が発生し、艦の構造自体が耐えられない可能性が高い」
こうした技術的未熟さは、今年5月に北朝鮮が進水させた新型駆逐艦が進水直後に横転した事故とも重なる。体制の威信を誇示することを優先するあまり、基本的な安全性や設計検証が軽視されている実態が浮き彫りになった形だ。
もっとも、専門家の間では「性能の低さは必ずしも金正恩体制にとって致命的ではない」との見方もある。
北朝鮮では乗員の安全や人権が二の次にされ、有事に一度でも海中から潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射できれば“任務達成”と見なされる可能性が高いからだ。実際、潜水艦が帰還不能となる事態すら想定内とする発想が、体制内部には根強いとされる。発射後には艦が構造的欠陥から自壊するか、米韓軍により撃沈されるのがオチだ。
海中でひっくり返るにせよ撃沈されるにせよ、その末路は惨めなものになる可能性が高い。
「外観だけ直そう」駆逐艦事故の現場、金正恩に虚偽報告
2025年5月21日、北朝鮮の清津(チョンジン)造船所で発生した駆逐艦の進水失敗事故。新造した艦が横倒しになる様を目撃した金正恩総書記は激怒し、今月下旬に開催される朝鮮労働党中央委員会の総会までの復旧を命じた。
そして米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」は3日、衛星写真の分析結果から、駆逐艦が直立の状態に戻されたと明らかにした。
「国の恥を重ねるな」
しかし、作業は理不尽な指示を繰り返す正恩氏の介入によって混乱を極めていたと、デイリーNKの現地情報筋が伝えている。
