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ついに建前を取っ払うことにしたのだろうか。

現在の北朝鮮政府の前身である北朝鮮臨時人民委員会は1946年12月、労働者、事務員とその扶養家族を対象にして、無償治療制を導入した。対象は徐々に拡大し、1960年2月の最高人民会議第2期第7回会議では、全般的無償治療制の全土での実施を議決した。

1980年4月の最高人民会議第6期第4回会議で採択された人民保健法は、次のように定めている。

第9条
国家はすべての公民に完全な無償治療の特典を与える。
労働者、農民、兵士、勤労インテリをはじめとしたすべての公民は無償で治療を受ける権利を持つ。

1.外来治療患者を含め医療機関で患者に処方する薬はすべて無料だ。
2.診断、実験検査、治療、手術、往診、入院、食事など患者の治療のためのすべての奉仕は無料だ。
3.勤労者の療養医療奉仕は無料で、療養のための往復の旅費は国家または協同団体が負担する。
4.助産は無料だ。
5.検診、健康相談、予防接種など予防医療奉仕は無料だ。

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国営の朝鮮中央通信は今月3日、人民保健法の採択から45年になるとして、「人民保健医療発展のための偉大な指導」と題した記事を配信した。しかし、「社会主義保健」という言葉を使った記事は多く存在する一方で、無償治療制やその根拠となる人民保健法を扱った記事は極めて少ない。

無償治療制はもはや形ばかりということを、暗に示しているかのようだ。

1990年代後半の未曾有の食糧難「苦難の行軍」を前後して、既存の様々な国のシステムが崩壊した。無償治療制もその一つで、医薬品は市場で買うものとなり、医師や看護師にワイロを渡すことも当たり前になっている。支払わなければ治療を受けさせてもらえず、ずっと放置される。

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(参考記事:響き渡った女子中学生の悲鳴…北朝鮮「闇病院」での出来事

北朝鮮で、公的機関がそんな現実を認めるような現象が起きている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、道内の病院では今年2月、看板の架替作業が行われた。その際に、今までなかったものが貼り出されるようになった。料金表だ。

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清津(チョンジン)市内の病院に貼り出された料金表によると、受付料、診察費はそれぞれ5000北朝鮮ウォン、レントゲン検査は2万北朝鮮ウォン、診断書の作成は5万北朝鮮ウォンと言った具合だ。薬も、1錠200北朝鮮ウォンのアスピリンから、1本3万北朝鮮ウォンのモルアミン(鎮痛剤のイププロフェン)の注射まで事細かく決められている。

(参考記事:「カネがなければ苦しみ抜いて死ぬ」北朝鮮の医療の現実

これは清津だけの現象ではないようだ。

平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、病院に治療費と医薬品代が記された掲示がなされていると伝えた。情報筋は、この料金表を次のように受け止めている。

「急に盲腸が破裂したり、事故で怪我を追ったりした救急患者でも、カネがなければ治療を受けられないシステムを作った」
「(当局は)韓国のことを、『カネがなければ重い病気になっても門前払いされて死ぬしかない生き地獄』と批判しているが、それはまさにわが国のことだ」