ただ、これにも大きな問題がある。通貨安だ。
密輸がしやすいのは、国境を流れる鴨緑江が凍結している冬だ。つまり、中国の税関の目の届かないところで、文字通りの密輸を行うのだが、氷が溶け始めるといくら水深の浅い鴨緑江上流でも、車の運搬が困難になる。そのため、密輸は今の時期に集中する。
国家密輸の横行のせいで、中国人民元に対する北朝鮮ウォンの価格が激しく影響を受けている。恵山では21日の時点で、1元(約20.6円)が3000北朝鮮ウォンで取り引きされている。16日の時点で、平壌や新義州(シニジュ)では2300北朝鮮ウォン台で取り引きされ、ウォン高傾向にあるのとは対照的だ。
そのせいで、輸入物価が高騰し、ただでさえインフレと食糧難で苦しんでいる庶民の暮らしがさらに苦しくなる結果をもたらした。
「カネでカネを儲けるという言葉のように、経済力のある人々は富を蓄積しているが、貧乏人はさらなる苦境に立たされている。富裕層と貧困層の格差がますますひどくなり、まるで平壌と地方の格差のように、地域内でも貧富の格差が目に見えて深刻化している」(情報筋)
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