米国のカービー大統領補佐官は27日、ロシア・クルスク州でウクライナ軍との戦闘に投入された複数の北朝鮮兵が、ウクライナ軍の捕虜となることを拒み、投降せず自殺したとの報告があると述べた。捕虜になった場合、北朝鮮当局が家族に報復するのを恐れたためだと指摘。過去1週間だけで北朝鮮兵千人以上が死傷したとの分析も示した。
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は27日のビデオ演説で、ロ「ロシアと北朝鮮の双方が、北朝鮮兵の生存を確保することに関心がない」と指摘。北朝鮮兵がウクライナ軍の捕虜にならないよう、極端な措置が取られているとして、「自軍によって処刑される例もある」と述べた。
北朝鮮のロシア派兵が明らかになって間もなく、韓国在住の脱北男性であるチョン氏(仮名)は、韓国デイリーNKに対し次のように語っていた。なお、チョン氏は兵士の身分のままロシアの建設現場に派遣され、労働者として働いた経験がある。
「北朝鮮は、ロシアに派兵した軍人が戦場から1人でも生きて帰ってくることを望まないだろう。彼らが戻ってきて、国民に自分が経験した事実を伝えた場合、体制に対する否定的な世論が生じかねず、体制維持に役立たないからだ」と主張した。
我々はいま、チョン氏が予想したことを現実として目撃しているわけだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面たしかに、韓流コンテンツを流布した人々に対する極刑執行が繰り返されている中、外国の情報に染まった多数の兵士を迎えるのは、北朝鮮当局にとって負担だろう。
(参考記事:北朝鮮女性を追いつめる「太さ7センチ」の残虐行為)
しかし、ロシアで実戦経験を積み生還した兵士を「英雄」として称えれば、国民の中に対ロシア協力に賛成する世論を醸成する余地もあるはずだ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮当局が今後、そのような行動を取る可能性は残されている。
しかし、自軍兵士の処刑などという残忍な行いを経験したり目撃したりした兵士たちは、国家に対する反感を募らせる可能性が高い。北朝鮮当局がそれを警戒するなら、チョン氏の語った通り、生還者を完全に拒絶する行動を強めるかもしれない。
(参考記事:「死の直前、泣き崩れる兵士」北朝鮮軍が見せる残酷映像)北朝鮮の恐怖政治が、いかに徹底したものであるかを改めて知り、今さらながら戦慄を覚えている。