また、高麗薬管理所の畑は、2014年末に窃盗事件が多発し、薬草のほとんどが盗まれてしまった。使えそうな薬草も、貿易会社が乱獲して中国に輸出してしまい、山に行ってもほとんど見かけなくなってしまった。
「中央の幹部は(地方の)現実をあまりにも知らない」(医療従事者)
(参考記事:経済制裁のシワ寄せか…北朝鮮で「人参ドロボー」が横行)また、漢方薬による医療事故も後を絶たないのが現実だ。
平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、平安南道当局は過去1年間に道内で起きた医療事故の調査を行ったところ、合計で163件に達した。そのうち130件は薬や麻薬の誤用によるもので、その7割の93件は、漢方薬によるものだった。医療事故全体の半分強が、漢方薬によるものという計算になる。
北朝鮮は、新型コロナウイルス感染症で医薬品が不足する状況が続く中、ワクチンや治療薬の代替として高麗薬の生産拡大を注文してきた。しかし、製薬工場の衛生管理に問題があるのが実情だ。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面また、即効性がないため、オーバードーズに陥りやすい。
「漢方薬は飲んでもすぐには治らないので、一日に何度も飲んで具合が悪くなることがある。症状が緩和され効果があると思っていたのに、肝炎など別の病気に悩まされる人もいる」(情報筋)
また、漢方薬に対する研究が進んでおらず、中にはエビデンスが明確でないものもあれば、成分に問題があるものもある。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面韓国の食品医薬品安全処(FDA)が2016年に北朝鮮製の漢方薬の成分分析を行ったところ、有害な成分が多数検出された。
(参考記事:基準値20万倍の水銀を含有…北朝鮮の漢方薬は「毒のかたまり」)