「密室の性上納」も…北朝鮮女性2千人”怒りの暴動”の舞台裏

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韓国統一研究院の趙漢凡(チョ・ハンボム)先任研究委員は25日、中国吉林省延辺朝鮮族自治州の州都・延吉の縫製工場に派遣されている北朝鮮労働者が賃金不払いに怒って暴動を起こし、北朝鮮の管理者が死亡する事態が生じたと明らかにした。工場支配人ら3人が重傷を負った可能性もあるという。

暴動が起こったのは今月11日ごろで、現地駐在の北朝鮮当局者が収集を図ったもようだ。賃金の不払いは4-7年にわたり、その総額は約1000万米ドル(約15億円)に上るという。そして、そのカネはすでに「戦争準備資金」として本国に送金されていたとのことだ。

暴動が起きたのは縫製工場だとのことだが、だとすれば、そこに派遣されていたのは北朝鮮の女性労働者たちだ。派遣労働者の数は2500人を数えるという。

管理者を死に至らしめるほどの暴力は、それ自体は肯定できないものの、彼女らの怒りがいかばかりだったかがうかがえる。

北朝鮮の女性労働者が派遣された中国の現場は、環境が劣悪で、コロナ禍においてはほとんど外出ができない彼女たちに対し、権力をかさに着た男性管理者による「密室の性上納」強要も報告されていた。

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(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

病気になってもろくに治療を受けることもできず、苦しみのあまり自ら命を絶つ例も漏れ伝わっていた。

賃金搾取も、周知の事実だった。デイリーNKジャパンは2021年10月28日付で、次のように報じている。なお、人民元レートは当時のものだ。

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「中国のデイリーNK情報筋によると、中国に派遣された北朝鮮労働者は一般的に早朝4時、6時から深夜10時、12時までの長時間労働に苦しめられている。本来なら中国の労働法で禁じられた行為だが、正式な就労ビザを取得して中国で働いているわけではないので、労働法が適用されないという法の抜け穴を利用し、労働力を搾取しているのだ。

それだけではない。労働者の月給は2800元(約5万円)から3200元(約5万7000円)と、中国当局の定めた最低賃金は上回っているものの、一部の企業では、生活費として50元(約890円)を支給するだけで残りはすべて党資金(忠誠の資金)としてピンはねしている。およそ98%という驚異的なピンはね率だ。

この手のピンはねは以前から存在したが、コロナ禍で受注が減り、忠誠の資金のノルマが達成できなくなったことで、その割合がより高くなり、今では食費などの名目で給料のほとんどが奪われる状況となっている。」

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こうした状況に対する怒りが今になって爆発したとすれば、それは、コロナ禍の沈静化を受けて北朝鮮の国境封鎖が解かれ、労働者の帰国が始まったからではないか。労働者たちは、死ぬ思いをしながらカネを貯め、それを家族のもとに持ち帰る日だけを待ちわびていた。

それなのに、渡されるはずの賃金がまったくなかった。あまりの絶望の大きさに、帰国後の処罰のリスクさえ忘れ、行動に出たのかもしれない。