「スキニーパンツ履くな」女子高生ら流血…北朝鮮で騒乱事件

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新年を迎えた北朝鮮では、反社会主義・非社会主義に対する取り締まりが以前にもまして厳しくなっている。文字通り社会主義に反する、あるいは社会主義にそぐわない行為を規制しているわけだが、明らかな違法行為ならともかく、普段の商売やファッションに至るまで対象となる範囲が広く、国民の反発も強い。

そして遂に、暴力を伴った取り締まりに怒った市民が、集団での抗議活動に出る事態が起きた。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、事件が起きたのは今月10日午後3時過ぎのことだ。清津(チョンジン)市の水南(スナム)区域の路上で、高級中学校(高校)に通う15歳の少女が、スキニーパンツを履いていたとの理由で糾察隊(取り締まり班)に摘発された。

大学生で編成された糾察隊は、女子高生の「これはスキニーパンツではなく化繊の細めのパンツだ」との主張にいっさい耳を貸さず、姉に罰金5000北朝鮮ウォン(約85円)を持ってくるよう自宅に電話させた。

現場にやってきた姉も、糾察隊にスキニーパンツではないとの説明を繰り返したが、彼らは「われわれに歯向かうのか」などと叫び、暴力をふるい、社会主義愛国青年同盟の事務所に連行しようとした。

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10人もの男子大学生が、女子高生とその姉を殴りつけるのを見た通行人は、周囲を取り囲み強く抗議し始めた。

「最高指導者(金正恩総書記)とその娘は長い髪にレザージャケットを着て、サングラスをかけても問題にならないのに、なぜ人民はズボンひとつも自由に履けないのか」(市民)

(参考記事:北朝鮮の女子高生が「骨と皮だけ」にされた禁断の行為

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やがて抗議する市民は数十人に膨れ上がった。おそれをなした糾察隊の責任者は携帯電話で安全部(警察署)に通報し、鎮圧を要請した。咸鏡北道安全局(県警本部)と清津市安全部の安全員は、市民を解散させ、ケガをして血まみれになった女子高生と姉を青年同盟の委員会に連行した。結局、1人あたり5000北朝鮮ウォンの罰金と、集団批判(吊し上げ)の処分を受けることとなった。

生活が苦しいときほど締め付けを強化する北朝鮮は、青年同盟、朝鮮社会主義女性同盟、大学などに指示して、市内のいたるところで反社会主義・非社会主義の取り締まりをさせている。染めた髪、ピアス、金日成・金正日バッジの未着用などが取り締まりの対象だ。

今月発行された党員・労働者学習綱領「党中央委員会第8期第9回総会の思想と精神で武装するための学習答案」は、「かつては見られなかった凶悪犯罪行為をはじめとする反社会主義、非社会主義的な行為との法的闘争に引き続き神経を尖らせ、特に集団的に騒ぎを起こしたり暴動を起こしたりする現象に対しては、政治的性格のものに発展するる前に直ちに徹底的に鎮圧しなければならない」としている。

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人々の不満はこうした取り締まりだけでなく、商売の統制を強化し、苦しい生活を強いている当局のやり方にも向いている。北朝鮮当局が社会の騒乱を避けたいなら、国民が商売に専念できる環境をつくることが先決なのだ。

(参考記事:北朝鮮国内で金正恩への「抗議」頻発か…大規模な監視組織を立ち上げ