飢えても最新ファッションに身を包む北朝鮮の若者たち

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韓国で、2017年ごろから流行となった中綿のロングコート。芸能人がSNSで発信した影響が背景にあると見られるが、韓国の寒い気候に合った冬用のアウターとして人気となった。最近では日本の路上でも見かけることがある。

地域によっては、韓国よりさらに寒い北朝鮮でも中綿のロングコートが2019年ごろから人気を博している。米政府系のラジオ・フリー・ラジアは2019年12月、現地の情報筋の話として、それまではカーキ色で綿入りの「部長冬服」というコートを着ていた男性たちの間で、「プーチン」という名前の中綿のロングコートが流行していると伝えた。なぜプーチンという名前なのか、ロシアのプーチン大統領と関係あるのかは不明だ。

一方、若者の間では赤、ピンクやスカイブルーなど派手な色で、毛の付いたフードのある中綿のロングコートが人気だったが、この冬からは黒などの地味な色で、フードに毛がついていないものが人気となっている。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、その理由を次のように明らかにした。

「色柄物はすぐに汚れが目立つようになり、頻繁な洗濯が必要だが、水も石鹸も何もかも不足している中で洗濯は難しく、(汚さないように)気をつけて着るしかない。また、長い間来ているとテカテカになって恥ずかしいので、無難な黒が好まれる」

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北朝鮮の人々を苦しめ続けてきた深刻な食糧難は、多少緩和したとは言え、依然として充分に栄養が取れない人が多い。

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そんな中でも見た目に気を使うのは、それで値踏みされる北朝鮮の社会風潮がよく表れている。

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「コロナ前までは、『着ることが残ることだ』(馬子にも衣装)だと言われていた」(情報筋)

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理由はそれだけではない。

「フードに付いた毛は何年かすると抜けてしまい見た目が悪い。それに南朝鮮(韓国)や外国では毛の付いたフード付きのジャケットはあまり着ないという噂が広がり、若者たちは毛付きのものをあまり好まない。毛の部分を取り外すか、できなければフードごと取り外して着る若者が多い」(情報筋)

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今、市場で売られている冬用のアウターの8割は、フードに毛のないもので、残りの2割は毛付きだが、売れ行きは芳しくないという。ただ、毎年冬服を買える人は5人に1人くらいで、残りの4人は去年まで着ていた冬服を着ている。

コロナ前まであった「着倒れ」の風潮は、食糧難が激しくなって姿を消し、今では食べることが優先となった。それでも流行に敏感な若者たちは、去年まで着ていた派手な色のコート、ジャケットに黒い布を当てて色を変えたりしている。

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そこまでしてアウターに気を使う北朝鮮の人々だが、どういうわけか靴にはこだわりがないようだ。

「靴にはこれといった流行りというものはなく、前から履いていたものを直しながら履き続ける」(情報筋)

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