公開処刑に吊し上げ見学も…北朝鮮が「見せしめ教育」を開始

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「北朝鮮で飢えていた」
「食べて生きていくためにやってきた」

10月24日、木造船に乗って韓国の領海にたどり着いた家族と思われる北朝鮮国民の男女4人は、このように亡命の意志を明らかにしたと韓国メディアが報じている。

江原道(カンウォンド)のデイリーNK内部情報筋によると、彼らの脱北を未然に防げなかった問題を巡って朝鮮労働党の道委員会は激怒しており、海軍と海岸警備隊の失態を槍玉に上げ、機関責任者と現場担当者、その他関連のある者に対して厳しく責任を問うとの声を上げているという。

また「脱北予備軍」については、一時的な困難(食糧難)により「敵に同調した裏切者どもや変節者どもの末路がいかなるものか、軍保衛局の提供した映像で恐怖教養(教育)を実施せよ」とも指示したとのことだ。

ここで言う「恐怖教養」とは何か。「軍保衛局の提供した映像」とはどんなものだろうか。情報筋は詳細を語っていないが、北朝鮮当局は折に触れ、国の方針に反したり犯罪に手を染めたりした人々を、様々な形で「見せしめ」にしている。

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地域住民に公開処刑を見るように強制するのが最たる形で、ここには中学生以下の少年少女らも動員されるという非道ぶりだ。また公開裁判を撮影し、容疑者の男女が吊し上げられる現場の様子を本人らの実名入りで編集して住民に見せたりもする。まさに「ショー化」された恐怖政治だ。

近年においては、2019年にやはり船で韓国へ亡命を図ったものの、殺人容疑者として韓国の文在寅政権により北へ強制送還され、処刑された男性2人の例がこうした思想教育で利用されているとも言われる。

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当局はまた、こうした事件が社会に広く知れ渡ることも警戒している。

ただ、北朝鮮の口コミネットワークを通じた情報伝達は非常に速く、瞬く間に全国に広がってしまうことがしばしばある。また、情報統制のためのビデオ上映会を通じて、逆に広く知らしめてしまうという滑稽な現象も起きている。

それでも、北朝鮮当局としては、今回の事件に神経質にならざるを得ない事情もある。

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中央党組織指導部は、「江原道は他の地域と異なり、敵ども(韓国)と陸海空のすべてで対峙している地域であるため、党、行政、軍、司法、安全、保衛、検察のすべての機関が、軍人、民間人の政治思想の動向について点検すべき」だと指摘した。

現在、軍保衛局は、事件当日に海上警戒勤務に当たっていた軍官(将校)、一般兵士の勤務中の居眠り、上部への報告の状況、異常兆候の記録などについて詳しく調査していると伝えられている。また、軍官と部下が口裏合わせできないように別々にして、取り調べを行っている。

同様の調査は、江原道の北にある咸鏡南道(ハムギョンナムド)、咸鏡北道(ハムギョンブクト)でも行われていると、別の内部情報筋が伝えている。